1.マドプロ出願とは!?
外国で商標登録を受けようとする場合、日本の商標登録(出願)を基礎として、外国に出願することです。 マドプロ、外国の商標登録の方法、費用等をわかりやすく具体的に説明します。2.外国で商標登録するには
日本人、日本の法人は、原則、外国で商標登録出願をし、商標登録することはできます。 外国で、商標登録出願を行う場合には、以下の方法があります。 ① 外国に直接、出願を行う(②は除く) ② 日本の出願から、一定期間内に、パリ条約の優先権を伴った直接出願を行う(パリルート) ③マドリッド議定書(マドプロ)に基づく国際出願〇直接出願とマドプロの違い
直接出願(パリルートも含む) | マドプロ | |
出願先 | 各国特許庁 | 国際事務局 (日本の特許庁経由の出願も可能) |
最初の出願言語 | 現地言語 | 英語 |
現地代理人の要否 | 要 | 不要 |
①外国に直接出願
外国の特許庁に、直接出願する方法です。 この場合に、原則として、出願する国の言語で書面を提出し、現地代理人が出願します。■各国別出願の流れ
各国に手続き / 各国ごとに翻訳
②パリルート
パリ条約の優先権を伴った日本の出願(第1国出願)から6ヵ月以内に、外国の特許庁に、直接出願する方法です。 この場合に、原則として、出願する国の言語で書面を提出し、現地代理人が出願します。優先権証明書が必要な場合があります。③ マドプロでの出願
■マドプロ出願の流れ
手続きの一本化
日本での商標登録、日本で出願し、商標登録の可能性が高い場合に、国際的な商標登録出願が可能な制度です。 各国の審査段階で拒絶理由通知等が発生しない場合には、原則、各国の現地代理人が不要なため、費用を抑えることができます。 ただし、条約加盟国にすべての国が加盟しておらず、制度が複雑であるため、マドプロの国際出願をするか否かは、慎重に判断することが必要です。 マドプロ出願は、締約国の官庁に、商標出願・商標登録がなされている出願又は登録を基礎に、保護を求める締約国を指定して、本国官庁を通じて、国際事務局に国際出願を行い、国際登録を受けることにより、指定国官庁が12ヵ月(各国の宣言により18ヵ月)以内に拒絶の通報をしない限り、その指定国において商標の保護を確保することができます。
3.マドプロ出願の費用
以下のマドプロの費用は、必ずかかる実費です。 ①本国官庁の費用、②国際事務局の費用があります。 ①本国官庁の費用 一件につき、9,000円 ②国際事務局の費用 国際事務局の費用は、 スイスフラン(CHF)で支払います。 種類 費用(CHF) 基本手数料 白黒653CHF/カラー903CHF 付加手数料 一指定国ごとに100CHF 追加手数料 三区分を超えた一区分ごとに100CHF 個別手数料 個別手数料を受領する締約国ごとに定める額 個別手数料については、各国ごとに定められています。 個別手数料を受領する締約国は、付加手数料、追加手数料が不要になります。個別手数料を受領する締約国のみの場合も、付加手数料、追加手数料は不要です。 日本の場合は、個別手数料の二段階納付制度をとっています。 一段階目は、出願時に、一区分77CHF(一区分を超えた一区分ごとに58CHF)、二段階目は、登録時に、一区分ごとに223CHFとなります。 二段階目の納付をしなれば、指定が取り消されます。4.マドプロの条件
1.日本国特許庁において商標登録申請・出願、または、商標登録されていること 2.商標が同一であること 3.指定する商品及び役務が同一又はその範囲内であること 4.出願人又は名義人が同一であることマドプロ出願を行うには、その基礎となる商標が日本国特許庁(本国)に申請・出願、または、商標登録されていることが必要です。この基礎となる商標を、申請・出願中のものを基礎出願、登録済みのものを基礎登録といいます。 マドプロ出願する商標と基礎となる商標は同一である必要があります。 マドプロ出願において、指定可能な商品・役務は、基礎出願、基礎登録で指定している商品・役務と同一か、その範囲内である必要があります。 なお、指定国ごとに指定する商品・役務をマドプロ出願の指定商品・役務の範囲内で限定することはできます。権利化したい商品・役務を限定することにより、指定国との無用なやり取り(拒絶等)の低減につながります。 マドプロ出願の出願人が、基礎出願、または、基礎登録の出願人、または、名義人と同一である必要があります。
■指定国官庁での流れ